乳がんに罹る人口は多く、どの病院も患者が多いと聞きます。手術は順番待ち状態、病院で検査を始める早い段階で執刀医や手術室を仮日程で押さえることになるでしょう。そして患者は「その日」に向けて通院を重ねると前回記事でご紹介しました。
患者には通院以外にも対応しなければならないことがたくさんあります。乳がん摘出と乳房の一次再建を経験した筆者が、手術までに準備したことと日常生活で心掛けたことについて解説します。
手術前、生活を変える必要はある?
患者は乳がんの手術前に日常生活を変える必要はあるのでしょうか。そしてどんな事を心がけるとよいのでしょうか。筆者の例をお話しします。
がん発症前(自覚症状なし)の生活
筆者は会社員で平日はリモート(在宅)で仕事をしています。終業後や週末はホットヨガやフラなどで日常的に身体を動かしていました。食事はほぼ自炊。間食も晩酌もしますが、暴飲暴食することはほぼ無く、喫煙の習慣はありません。まずまず健康的な生活を送っていたと思います。
「喫煙所に近づくな!」日常生活で心掛けること
筆者の場合、手術前の日常生活を変える必要はありませんでした。食べてはいけないものはなく、ダイエットの必要はなく(お腹の脂肪を胸に移植するので減らしすぎてはダメ)、酩酊しなければ飲酒しても問題ないとのこと。趣味や運動は手術前まで続けてよい、むしろ身体は動かしておくように、と言われました。
一つだけ念を押されたのは「禁煙」。喫煙は血管収縮、血圧上昇、血栓形成リスクを上げる等、様々な悪影響を及ぼします。特に筆者が受けた「遊離腹部皮弁」という再建術では血管を繋ぎ合わせるので、血管が健康であることが重要。喫煙習慣がある方は、血管を繋ぐ手術はできない可能性もあるそうです。
喫煙習慣がない方も副流煙にも気を付けましょう。喫煙所に近づくのもNGです。もしあなたの身近に喫煙習慣がある方がいたら、しばらくは喫煙を控えてもらうようお願いしましょうね。
「手術まで2週間」・・・実際に準備したことは?
日常生活を大きく変える必要はありませんが、準備は諸々必要でした。「あと2週間」のカウントダウンに入ったところで対応したことをまとめました。
通院以外の身体メンテナンス
- 口腔メンテナンス(虫歯治療・クリーニング・歯をしっかり磨く)
- 美容院に行き、髪を切る
- 切除する乳房の型取り
手術中は口から挿管して呼吸を確保するので、術前外来では歯科検診があります。そして手術前までに虫歯があれば治療し、クリーニング(歯石取り)も済ませておきます。クリーニングすることによって、口腔細菌が肺に感染するリスクを下げることができます。虫歯の治療は早めに済ませて方が良いですが、クリーニングはなるべく手術から近い日程で実施するようにします。
髪はショートカットにする必要はないですが、手術後しばらくは看護師さんにシャンプーをしてもらうので、お手入れがしやすい長さがベター。
乳房の型取りはお世話になった形成外科医師が指定するブレストセンターで実施しました。(全ての形成外科の先生から指定されるということではないようです。)乳房型取りは保険適用外ですが、元の乳房の形に近づけることが容易になり、手術時間の短縮にもつながるそうです。
申請関係・お金の準備
- 民間保険の内容確認
- 申請用書式の取得
- 手続き方法の確認
入院と手術には多額の費用が発生するので、どこに何を申請してどれくらいのお金を確保できるのかは把握しておいた方が安心です。もらえるお金や保証の内容の把握と、申請に必要な書式の準備をしておき、入院期間に申請を済ませておくことをお勧めします。
文書申請は退院してから対応することもできますが、書類を手に入れる(主治医に書類を書いてもらう)までにそれなりに時間がかかることは覚悟しておきましょう。
入院準備
- 必要なものをそろえる
入院中は普段は使わないものが必要になったりします。
例えば下着。乳がん手術後はしばらく普通のブラジャーをつけることができません。入院期間中はノーブラで過ごしますが、退院時に着用するものとして前開きできる緩いブラトップを用意しました。まずは1~2枚あれば十分。手術後の乳房の状態に応じて退院後に買い足すことをお勧めします。

入院期間中に着用する下着はシンプルなデザインで洗濯乾燥機が利用できるものがおすすめ。手術直後は自由に動けない(洗濯もままならない)ので、ショーツは多めの枚数を用意しておいた方が安心。下のグンゼのショーツは病院内の売店にも売っていました。

また、筆者は腹部を大きく切開する手術を実施したので、手術後に着用するお腹シェイパーを用意しました。これは手術後6か月間は着用するようにとのこと。2枚購入しましたが、買い足しが必要になるかも・・・。

ちなみに、パジャマとタオルは洗濯の手間を考えると、有料でもレンタルの方が楽です。筆者は1セットだけ持っていきましたが、手術後はレンタルにして正解だったと思っています。
持ち物はまたの機会にご紹介したいと思います。
日常生活
- 不要品の処分
- 食材の整理
- サブスク契約の確認と見直し
入院期間中に家を空けるので、ひとり暮らしの人は諸々調整が必要です。退院後に帰宅したときに絶望しないためにも、なるべく家の中を整理しておきましょう。
まとめ
- 病状にもよるが、基本的に乳がん手術前に生活の制限はない。
- 運動習慣があるようであれば、手術前までは続ける。
- 喫煙は厳禁!副流煙も避けるようにする。
- 通院以外にも何かと準備に忙しい。
いかがだったでしょうか。書き出してみると些細な事とはいえ、結構やらないといけないことがありますよね。参考にしていただけたら幸いです!
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