「乳がんステージⅠ、手術まで通院は●回」 術前の通院回数とその内容は?

乳がん・再建の話

通院は病気の疑いがあった時から始まります。がんが見つかると対象部位だけでなく他に転移がないか全身隈なく精密検査をする為、おのずと通院回数が多くなります。

とはいえ、通院時間を確保するのは意外と大変。外来時間は限られており、他の患者さんの診療の兼ね合いで予約通りとならないことも・・・。忙しいとつい治療を後回しにしてしまう・・・その気持わかります!

実際に乳がん疑いがある場合は何回くらい通院し、どんな診療を受けるのでしょうか。乳がんステージⅠで一次再建手術を受けた筆者が体験談をお話します。

乳がん治療と再建

本題に入る前に乳がんの病期と治療方法、そして診療科について整理しておきましょう。

病期と治療方法

「病期」より「ステージ」という方がピンとくるかもしれません。一口に乳がんといっても、ステージによって治療方法は異なります。以下の表は乳がんのステージと症状をまとめたものです。

乳がん病期

虎ノ門病院ブレストセンター

また、乳がん治療の流れは以下が参考になると思います。

一般的な乳がん治療の流れの例

入院までの通院回数に患者さんのための乳癌診療ガイドライン2019年版

図の通り、ステージによっては薬物療法や化学療法が必要になるようです。ステージⅠだった筆者は、術前、術後の薬物療法や放射線治療は実施しませんでした。

乳腺科と形成外科

乳がん疑いがある場合はまず乳腺科を受診し、乳房摘出が必要になった際に乳房再建を検討することになりますが、再建は乳腺科の管轄ではありません。乳がん治療は乳腺科、乳房再建は形成外科で診療を受けます。診療科が違うので再建をする場合は診療と通院が多くなるのは仕方がないことなのです。

一次再建手術では乳房摘出と乳房再建を同時に行いますが「まず乳腺科による乳房摘出手術、その後形成外科によって乳房再建手術」というように、2つの手術を続けて実施しているのです。

同じグラウンドで第1試合と第2試合がある感じ・・・?(←筆者の勝手なイメージ)

乳がんも再建も相談ができる「乳腺センター」という診療科を設けている病院もありますが、乳腺センターには「乳腺科担当医」と「形成外科担当医」がいます。自分の担当の医師がどちらなのか把握しておいた方が、適切な質問ができますよ。

ステージⅠ乳がん 一次再建手術までの道のり

右乳房のがん摘出と同時に自家再建手術をした筆者は、検査から手術を受けるまでに約5か月を要し、その間に3つの医療機関を受診しています。それぞれの医療機関でどんな診療を受けたのか振り返ってみました。

※医療知識が乏しい患者の覚書なので、診療内容に認識違いがある可能性があります。

検査~乳がん告知 @クリニック(乳腺科)

筆者が乳房検査を受けたのは、会社の定期健診がきっかけです。乳房検査でE判定になり、健診センターから紹介状が自宅へ郵送されました。自覚症状は全くありませんが、「乳腺科」がある病院を探し、自宅から一番近いクリニックを予約しました。2024年11月のことです。

24年12月2週 初診
エコー検査
マンモグラフィー検査
定期健診の結果(乳房健診E判定)と紹介状を持参。長時間の検査の結果、細胞診or組織診の実施を勧められる。次回、細胞診実施の予約を取る。
25年1月3週 細胞診
25年2月1週 細胞診結果ヒアリング① がん疑いがあるとの判断。詳細確認中との説明を受ける
25年2月3週 細胞診結果ヒアリング② がん疑い濃厚。さらに詳しい生検に出しているとのことで大きな病院での手術を勧められる。手術を受けるための病院を検討するように言われる。
25年2月4週 診察 乳がんであることを正式に告知される。紹介状、細胞診検体、画像CD-ROMを受け取る。

クリニックでは乳がんか否か確認するための検査を実施、乳房エコー、マンモグラフィ検査の後、組織を取る検査を打診されました。

細胞診と組織診。どちらも乳房に針を刺して組織を取る検査です。組織診の方が細胞診より針が太く詳しい検査ができるそうですが、筆者は身体の負担が少なく、費用が安い細胞診を選択しました。

細胞診でとった組織は病理検査に回されますが、病理検査の結果が出るまで思った以上に時間がかかり、乳がんを正式に告知されたのは初診から5回目の診療、2025年2月末のことでした。

精密検査~病状把握 @分院(乳腺科)

25年3月1週 乳腺科初診
採血
心電図
レントゲン検査
今後の検査、入院、手術日程を決める。
取り急ぎ、その日のうちにできる検査を受ける。
25年3月3週

MRI検査

乳腺エコー検査

検査のみ。
25年3月4週

CT検査

マンモグラフィー

口腔検査

検査のみ
25年4月2週

呼吸検査

身長・体重測定

乳腺科診察

「ステージⅠ」確定。乳房全摘を勧められる。(乳房全摘で納得の場合はこの日が入院前最後の通院だった)
再建を検討したいと伝え、入院予約は一旦保留。
25年4月3週① 形成外科初診 形成外科で再建の説明を受け、希望する再建方法は分院ではできないと聞く。本院の形成外科への紹介状を書いてもらう。
(この後、本院で診察)
25年4月3週② 乳腺科診察 本院で再建を検討したいと伝える。紹介状を書いてもらい、必要データを連携してもらうようお願いする。

乳がん告知を受けた後にお世話になったのは家から近い大学病院の分院。ここでは病期や他の部位への転移がないかを確認するための精密検査を実施しました。MRIもCTも初めての経験です。

検査の結果は右乳房の浸潤がん。転移は見られないステージⅠ。早期発見ですが、悪性度を表すグレードは一番悪い「3」。がん細胞の増殖が活発で、転移や再発リスクが高い「悪い顔したがん細胞」だそうです。

悪い顔したがん細胞(筆者のイメージ)

悪い顔したがん細胞(筆者イメージ)

乳房の全摘を勧められたので、その場で再建を検討したいと伝え、同じ病院の形成外科の先生の診療を予約しました。

お話の結果、残念ながら希望する術式(腹部からの移植=遊離腹部皮弁法)はここでは対応できず、二次再建をする場合は少なくとも半年は間をあける必要があるとのこと。希望する術式が対応できる本院の形成外科宛の紹介状を書いてもらいました。

再建検討~手術 @本院(乳腺科&形成外科)

25年4月3週 形成外科初診 希望の術式の一次再建が可能ということで、本院で手術受けることを決める。(その後、改めて分院の乳腺科へ紹介状依頼)
25年4月4週① 乳腺科初診
血液検査
CT検査
乳腺科の紹介状、検査データを持ち込み、正式に転院。再建手術を受けるにあたって、改めてCT検査をする。
25年4月4週② 形成外科受診
腹部エコー検査
心電図
尿検査
乳腺科受診
入院予約
入院&手術日が確定。

この日は形成外科と乳腺科、両方を受診。諸々の検査を受ける。
入院予約も済ませる。

25年4月5週 形成外科受診
乳房エコー検査
25年5月1週 入院外来受診
乳腺科受診

手術時の麻酔の説明&麻酔科の同意書記載。口腔検査あり。

乳腺科では手術の説明を受け、同意書にサインする。

25年5月3週① 入院
形成外科受診
入院後、形成外科で手術箇所へのマーキングをする。
25年5月3週②
(手術当日)
レントゲン
乳首注射
手術
手術当日の朝に実施。手術室へ向かう前に受診。

本院の形成外科で相談の結果、転院して乳房全摘と同時の再建手術(一次再建)を受けることを決心。ここから再建の為の形成外科の主体の検査が始まりました。手術は幸い約3週間後に枠が確保できました。

思い返せば告知をされてから手術まで、通院の他にもやることがたくさんあって、なかなか落ち着かない毎日でした・・・。入院前に通院以外で対応したことは、近いうちに別の記事でご紹介したいと思います。

まとめ

  • 腫瘍摘出手術を受ける前には精密検査の為、複数回の通院が必要。
  • 病期が進んでいる場合は術前薬物療法をすることがあり、通院回数が増える。
  • 一次再建をする場合は乳腺科とは別に形成外科の診療が必要になり、通院回数が増える。
  • 筆者はがん告知までクリニックへ5回、乳房全摘関連で分院へ6回、再建検討関連で本院へ5回の通院をし、入院後にも2回の受診があった。

今回は術前の通院と診療ついて体験談をもとにお話ししました。

乳がん治療は実は結構「忙しい」。考えないといけないこと、調整しないといけないことがたくさんあり、落ち込んでる暇がないくらいです。元々楽観的な思考パターンを持つ筆者も当時いろんな想いを抱えて日々を過ごしていたこと、この記事を書きながら思い出しました。

乳房を失うことはショックですが、一通り落ち込んだ後は「完治した後の楽しいこと」を想像して病気と向き合いましょう。

大丈夫、ちゃんとゴールはありますよ!!

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